今来たいと思った場所と思いがけないブラックホールの潜む街【47都道府県完全制覇 #5:大分県 + α】
岐阜、和歌山、滋賀、高知と来て降り立ったことのない都道府県もいよいよ片手で収まるほどになって来たところだが、そのカウントをさらに進められそうなタイミングがやって来た。
*前回(全4回シリーズ)
岐阜、和歌山に続きLiella絡みでの遠征で福岡に飛んだ日の2日目の夜、早々に夕食を済ませ鹿児島中央行きの新幹線に乗り込んだのは夜22時前。
新幹線は闇夜を切り裂き降りたったのは久留米駅。

乗り換え改札をくぐり、在来線ホームの頭端部に切り欠く形で作られた0番線には既に目的の日田行きのディーゼルカーが出発準備を整えていたところだった。

日田。そう、大分県が今回カウントを進めるために訪れた場所である。
本来であれば湯布院や別府といった観光地を楽しんでなんぼの県なことは承知していたが、時はGW。
1泊の値段を見てひっくり返ってしまったので別の楽しみはないか探していたところ、どうやらこの日田に前乗りすることでなんとか楽しめるらしい算段がついたので向かうことにした。
久留米から1時間ほどで日田に着いたが、久留米でそこそこいた乗客の大半は途中で降りてしまい、インバウンドの外国人集団と自分だけという感じになっていた。まあそりゃ23時だし仕方があるまい。



日付が変わるくらいに寝床につき起床は6時半。
眠い目をこすりつつ、来た道を戻り日田駅へ。

大分行きの列車はそこそこ賑わっていたが、座るのに難儀しなかった。



列車は渓谷沿いを進みながら40分ほど、目的地である豊後森駅に辿り着いた。


目的は駅から徒歩5分ほどのところにある豊後森機関庫公園。






大衆受けするところでいくと「すずめの戸締まり」のモチーフ。オタク受けだとラブライブサンシャイン・Aqoursの「HAPPY PARTY TRAIN」のモチーフ。
個人的には後者側・Aqoursの9人体制ラストライブが迫る中訪れられるなら、とここを旅程に組み込んだ。



豊後森機関庫公園、朝8時であったが既に観光客がちらほらと訪れるほどには賑わっていた。
歴史を紐解けば、ここまで乗って来た久大本線の山あいを走るのに用いられた機関車の交換に用いられたところがこの機関庫のはじまり。
時を経て乗って来たような一般の気動車単騎でも駆け抜けられるようになったところで役目を終え、今の機関庫跡という形になったらしい。
…と、まじまじと見ているほどの時間はなく、見学もそこそこに再び豊後森駅に戻ると日田へ戻る電車が待ち構えていた。急いで乗り込む。

来た道を戻り日田に帰って来たのが9時前。



旅程を確認できていなかったが、戻るのが早かったわりには乗り継ぎ先は1時間待ち。
こういう山あいともなるとこういうことになりがちなのはわかっていたが、確認不足であった。早々に宿をチェックアウトして行ったわけだが、外出扱いで荷物背負わずとも行けるほど結局待った気がする。
…まあこの後旅程確認不足はさらに波乱を引き起こすこととなるとは、この時の僕は知らない。
さて…ともなると暇なのでスーパーとかで地場のものでもないかと繰り出してみた。
駅から程近くにイオンがあったので、そこを物色。

ヨーグルッペはあくまでヨーグルト風の乳酸菌飲料で宮崎発祥、つぶみかんジュースはみかんの缶詰の出荷量が国内随一である長崎島原発祥、ボンタンアメは近年は尿意減衰に効果ありと目される鹿児島発祥。絶妙に同じようなのがありそうでちゃんと九州発祥のものを選んで買ってみた。
さて、最後のボンタンアメの尿意減衰というのがこの後のキーワード。そう、そこそこ長い時間交通機関に揺られることもあるのでセレクトした。
次乗るのが「日田彦山線BRT(ひこぼしライン)」である。過去の豪雨災害で被災した区間を鉄道復旧ではなく、バス専用線に転じさせ同区間を結ぶ形としたのがこのBRTの始まりである。

あまり観光的な期待というよりはGWに混むところ行ってもさほど楽しめないだろうというところと、来た道戻っても面白くないというところからのセレクトだったが、存外初BRT乗車ということもあって楽しめた。

日田で出発を待つ際には外国人観光客集団も居た。BRTのバス停留所付近にたむろってただけにまさか異国の同業者かと思ったが、到着したBRTには目もくれてなかった。流石に違ったらしい。

さてこのBRT、バス転換こそされてるがJRの路線網に組み込まれる形にはなっており、バス単独利用でなければ駅で切符が買える。
このあたりイマイチBRTのサイト見てもわからなかったので日田の駅員さんに聞いたところ一般の券売機に専用のボタンがありそこで買うよう指示を受けた。


博多まで買っても良かったが、それだとあくまで一般きっぷ扱いで途中下車出来ないっぽいのを察し、乗り継ぎの待ち時間のある田川後藤寺までのきっぷを買い、BRTに乗り込んだ。

乗り込んだBRT、タイミングがタイミングだったからかGWとは思えないほどあまりにもがらんどうとしており、日田駅発車時点での乗客は自分と同業者であろう男性の2名のみ。

時期が時期とはいえこれ採算面どうなってるんだとすら思わされるような空き具合のまま、途中で乗客も拾うことなく淡々と進んでいく。

驚いたのは近年開業ということもあり、バスの設備面がそこそこ整っていたこと。


BRTと鉄道(久大本線)の並走区間が終わる夜明駅でまとまった乗車があったものの、これもまた同業者らしき親子連れとおばさま1名。
ゆったりとした具合のまま、バスは山中を進んでいく。

驚いたのはバス専用線に入ってからも、鉄道というなりで優先走行が可能かと思いきや、一般道との接点はバス専用線側に遮断機が設けられており、あくまで接点においては交差する一般道側の方が優先されることだろうか。

乗ってた時は不思議に感じたが、後から振り返るとこういう構造・形態としていれば一般道から専用道に誤って侵入することはないわけだし、納得である。同じような運行形態を持つ愛知の路線で誤侵入する事件があったことを考えれば尚更である。





途中で降りればアーチ橋を通るバスを見れたようだが、福岡空港まで戻るのにそんな余裕もなく、スルスルと通り過ぎてしまったが故、そこまで景色楽しんだかと言われればまあそうではないが、そこそこ楽しかった。
BRTの終点・添田では2両のディーゼルカーが止まるホームの横に横付けで停車。
どう降りるのだろうと思って一応始発の日田で取っておいた整理券ときっぷのうち、整理券のみ回収されそのまま乗り継いでください、と言われバスからは降りた。


バスの閑散ぶりについて触れたが、来た道を戻るほうを待つ乗客はそこそこちゃんとおり、小型バスでは乗り切れないほど(30名ほどだろうか)いた。
乗り切れない、いわゆる積み残しを出すほどだったが、こういう時はどうやら続行として同時間帯をバス2本で走る便宜がなされていた。この辺りはバスらしい取り扱いな気がする。GW特例だったりするんだろうか。
添田の駅、お手洗いくらいあるだろ…と思いきや絶妙に改札外にあるらしく詰みかけた。無人駅とはいえこれ降りたらルール違反…いやしかし漏れそうだし…とか思ってたら乗り継ぐ列車にあり、事なきを得た。
この後博多に戻るラストランナーでもこの車内トイレにお世話になったので、いい文化ですこれは…
さて、日田彦山線平地区間は通常の気動車での列車運転がなされており、バスの横に待ち構えていた2両の列車に乗り込み、田川後藤寺まで進んだ。


乗り換えまで30分ほど時間があったのでここも街に繰り出してみた。

神社があるようなのでそこへ向かう。



…と繰り出したはいいものの、ここはここでGWとは思えないくらいまた閑散としていた。


時にある交通の要衝ではあるが、あくまで街自体はそこまで栄えてないパターンの駅だったらしい。
昼飯無いかと彷徨っていたら同じように彷徨っていた男性からご飯屋さんないですか、と聞かれてしまった。地元民では無い事を告げつつ、そんな店ここにはなさそうだということを共有し更に彷徨う。
結果、商店街ではなく駅出てすぐのところに持ち帰り専門寿司屋があるのは確認したが、辿り着いたあたりで携帯のロック画面に目をやると12時15分。
あれ、乗車予定の列車の発車時刻って…
はい、乗り遅れました。
…乗り遅れに気がつき血の気がスッと引いてったのは言うまでも無かったが、そうもいってはいられない。
本来の行程だとこの後JRをもう何本か乗り継ぎ博多まで辿り着く予定だったが、どうやらJR以外に出ていた平成筑豊鉄道に乗れば回復可能ということを割り出し、急ぎきっぷを買い5分後の列車に乗り込む。
人間、焦るとミスは頻発する。
本来は直方までのきっぷを買うべきところ、乗り継ぎ駅である金田までのきっぷ…どころかそれと似た上金田という駅までのきっぷにしか買えていないことに気がつく。
結果、誤って買ったきっぷと差額と引き換えに直方までのきっぷ…もとい領収済書を発行してもらい事なきを得た。

予想外に乗ることになった平成筑豊鉄道もまた、両手で数えられるくらいの乗客を乗せ、のどかな大地を進んでいく。

窓に映るのどかな背景と相対するように焦る我が心。
早くも乗り遅れた場合に備え代わりの飛行機の時刻だの料金だの、払い戻し方法だの、仮に間に合うとして保安検査締切時刻いつだっけ…と考えていたが、一応その調べの中で飛行機の締め切り時刻にはギリギリ間に合うところは見えたので、万一乗り損ねた場合の代案も考えついたところで一息つく頃には、目的地である直方まで辿り着いていた。


直方からは列車1本。そっくりそのまま博多行きが出てたのでそれに乗り込み博多駅着、駅ビルに預けていた荷物を取り出し無事福岡空港の保安検査を抜けた。
…が、どうやら飛行機は飛行機でGWの煽りですぐには出発出来ず待ちぼうけを喰らった。
羽田に着いてからも到着スポットが今度は混んでるという事で待機をくらい、結局最後はバスで到着ターミナルまで向かうことになった。
乗り遅れから目的の飛行機に乗れたこと、また翌日にGWをもう1日残していたこともありそこからは多少遅れようがまあええか…でのほほんと待てた。
時は金なりとはよく言うが、予定におけるバッファは安心を買うものだということに気付いたし、もっと立てた予定ちゃんとみてより良いルートにできないかちゃんと考えないとなーと考えさせれた珍道中でございました。
結局大分、和歌山同様かすめたに等しい踏破だったので、また折を見て行きたいですね…
ということで、47都道府県完全踏破、残るは未到達の熊本、通過はしたものの降り立っていない佐賀、島根、福井、青森といよいよ残り5つに。
ゴールをどう迎えるかも考えつつ、またこじつけで行けないものかも探ろうと思います。
ではでは、このシリーズはまたどこかで。