私には野望がある。
47都道府県すべてをこの足で踏むことである。足がかりは父親が作ってくれた。
学生時代の夏休みなど、長期休みの折に各地に連れて行ってもらい気が付けば学生生活を終わる頃にはあらかた巡っていたような感じだった。今思えば、受け継いだ血には間違いなく旅行好きという成分が含まれていたと思う。感謝しかない。
それはともかく、ある時ふと47都道府県を並べ行った事のある所を埋めて行ったところ、残るは9県と絞られていた。
ここまで来たならここは一つ、47都道府県全てを巡ってみようとなったわけだ。
チャンスはすぐにあった。
GW、Liellaのファンミーティング向けに抑えていたGW後半の3連休初日。
本題のチケットは手元には2日目の夜しか無く、残るは当日の新幹線と愛知に取った宿のみ。
先に取っていたこともありキャンセルした方が高くつく状況なだけにどうするか思案する中で思いつく。
岐阜に行くか、と。
大阪やその先に行くときに新幹線なりで何度も通過はしたが、降り立ちはしてなかったのだ。
早々に予定を立て、実行に移した。
横浜線で降り立った新横浜の駅は混沌としていた。GW初日ということもあり、満席の立札も立っていた。
乗り込んだひかり号も普段なら富士山の見えるE席を取るが、この日はA席しか取れなかった。まあここ数年を踏まえると、知っているGWが戻ってきたなとも思う。
A席ともなると3人掛けの窓側となるが、意外だったのは真ん中と通路側に座っていた2人は豊橋で降りていった。新横浜で乗ったときには座っていたので、名古屋で降りて折り返すよりは1本で行ける方が選ばれるのだろう。
もう何度来たかわからない名古屋でスーツケースを先に宿に預けようとしたら、もうチェックイン出来ると言われた。部屋になだれ込み最小限の荷物だけを持ち宿を出た。
旅程を考える中で、岐阜と合わせあらかた巡った愛知の未踏の地も行程に入れた。その1つが最初に向かった犬山城だった。現存十二天守と呼ばれる江戸時代以前の天守閣が残る城の1つ。
印象的だったのが犬山遊園駅から城へ向かうまでの道。
どことなく嵐山の渡月橋あたりを思い出す感じは横を流れる木曽川が日本ラインと呼ばれるほどの優美さをもっていることの表れなのだろう。
天守閣、2時間待ちとやらだったので500円払って天守閣だけ見て帰った。
想定していたとはいえちゃんと金払わないと天守閣近くで見られない構造になってて、考えてるなーと。
さてどうするかと一息ついて沁みてくる初夏を思わせる暑さ。駅へ戻るまでの道にかかるは「氷」ののぼり。無論入る。
かき氷で冷えて落ち着いた体で考える。
犬山城のために取ってた滞在時間で別の場所へ行けそうだと気がつき、岐阜の前にさらに寄り道をすることにした。
田縣神社という神社をご存知だろうか。
由緒正しい「アソコ」の神様の神社なのである。
県道に面している正殿は至って普通だが、その正殿の裏手にはこれがある。
右が商売繁盛・金運、左が子宝・安産・夫婦和合を願いながら撫でると良いとのこと。
寄り道で時間も食ったので、いざ本題。
名鉄岐阜に降り立つとすぐそこは繁華街。流石である。さあ、今宵の目玉の飯へ…
流石に見知らぬ土地、Googleマップで経路を検索…
…閉まってる!?
完全な下調べ不足。ご飯や、ましては麺類の店なら夜も空いてるだろうと思ったらなんと昼営業のみという。やられた。
さて、そうなると大幅に計画が狂う。
予定ではGWだしここで少し並んで飯を食って…なんてスケジュールにしていたもんだからさあ大変。
かといってこのまま目的地に向かうのも目的が目的が故そうもいかなかった。
目玉は「岐阜城のライトアップ」で日没時間は19時前。現在時刻18時。
まあなんか行く道すがらご飯屋さんでもあるだろ〜とここでたかを括ったが、歩けども歩けどもまあ店がない。
気がつけば3km所要40分を歩き切ってしまった。
かき氷は食べているとはいえ、この日の昼は本当は昼で食べたかったものにフラれてのこの徒歩。やられたと思ったが、ここからが凄かった。
40分も歩いたことで見事にゴールデンタイムを引き当てたようで、山麓からロープウェイで登る時点からもう夜景が素晴らしかった。
そして極め付けが天守下から見上げるアングル。我ながら会心の1枚が撮れたと思うし、これはGWにわざわざ延長営業してこの時間まで開くよなと思う景色だった。
帰りこそGW渋滞でロープウェイは30分待ちだったが、これだけの人が来るのも納得という景色だった。
食事も無事名鉄岐阜駅前の繁華街で地元料理の店を発見。盛大に食べた。
旅に出ないと分からないことがある。
こういう体験がまた人を次の旅へ誘うのだと感じた1日だった。
翌日の話は、またこの次に。