時は令和5年夏、男は決断に迫られていた。
乃木坂46の33枚目シングルの特典とし、かつての対面開催だった握手会に限りなく近い「リアルミーグリ」の開催が決まる。
前作、存在を知りながら応募忘れをかました男は、リベンジに燃えていた。
結果、応募するも当選しなかった8枚分の応募権利が残った。
「残った」としたのは、このリアルミーグリの応募制度、一度のみリベンジが出来る。
ただ、大抵のメンバーは1回きりしかチャンスはなく向かいやすい東京近傍、神奈川での開催は、ほぼ全てが売り切れとなっていた。
しかし、わずかな希望の光は残っていた。
神奈川と合わせ、今回はもう1ヶ所京都での開催が残っていた。
そこには我が推し・松尾美佑嬢の応募枠が残っていた。
そこからの迷いはもうなかった。8枚の残り権利を突っ込み、京都への切符を手にした。
これは、1オタクが都市伝説と思っていた対面握手会…に近いリアルミーグリを味わった日の物語である。
令和5年10月16日。男は、弾丸で京都へ向かった。
せっかくの京都、持ち券は午後からの部。
そうと決まれば、いつもの如く聖地巡礼。
往復新幹線のパックに嵐山電車の1日乗車券あったので、向かうは嵐山。
そう、さくさんぽの聖地巡礼というわけ。
日曜日という事もあり、まさしく黒山の人だかりだった。ただ、軽食どころはやはりしっかりしたレストランと比べどこも空いており、しっかりと巡礼出来た。
ついでにちゃんと有名どころも回ったけど、歩道に収まりきらない人、人、人。
オーバーツーリズムを体で感じる嵐山だった…
で、本題。リアルミーグリの話をしよう。
嵐山からは1時間と意外とかかって会場へ到着。
雨も時より降る中入った会場には30を超えるレーンに、並ぶ人々。あまり話すこと考えてなかったとはいえ待ち時間で何とかなるでしょと胡座をかきまくっていた。
いくら対面とはいえ、画面越しに何度も見てきた相手。そこまで緊張するか?とこの時は思ってた。
…思ってたんです、本当は。
スルスルと進んでいく列、あっという間にお時間。溶ける語彙、震える手、マイクをスピーカーと間違える。ボロボロである。
やーリアル恐るべし。秒過ぎる。
「ひえー本物だー」から二の句出なかった気がする。
これしかしリベンジできる回あって本当によかった。舐めてかかり過ぎてましたわね、色んな意味で。いやまあそんなヘラついた気持ちで行ってはなかったけど、推しが発する光というかオーラに全て溶かされた。
悔しさにも似た気持ちで一旦会場を離れ、ベンチで多少ヘラった。
ただ少し落ち着いた後、魂には火が灯った感じはした。
多分次も3次元で存在する推しの眩しさには負けるとは思った。
ならば小細工不要。応援しているという気持ちを真っ直ぐに伝えればいいと思った。
会場近傍のファミマでエナドリを飲み干し、いざリベンジ第3部。
まあ結果はまたしても語彙は半分溶かされてしまったが、耐えた。
やりとりは記憶の彼方に飛んでいってしまったが、「いつも応援しています!」と
剥がされた後見送ってくれた推しの笑顔は朧げに記憶に焼き付いている。
…3部、リベンジを果たしたオタクは充実感に満ちた勢いでグッズ1諭吉、推しと同じ名を冠する神社に参拝、京都駅でもしっかりお土産を買い込み、ニコニコで京都を後にするのでした。めでたしめでたし。
思えばコロナ禍突入まもない頃、心の支えとなってくれたのが乃木坂だった。
時期が時期であっただけにその頃には握手会はパタリと途絶えており、復活することはないとすら思っていた。それだけにリアルミーグリと形は変わったものの対面イベントが復活してくれたのは嬉しかったし、来れて良かったと思った。
アイドルとビールは生に限る、という一言を持ってこのお話はここまでとしようと思う。ありがとうございました。
次回は推しと横浜4番勝負の牧、いや巻でまたお目にかかるとしましょう…
デスターシャリクエストしよっかな…